通販の是非
眼鏡の通販について
今回のブログの内容は、前回同様「もも様」の質問に対してお答えしていきたいと思います。前回のレンズに関しての私の回答は以前このブログで書いたことのある内容の繰り返し(まとめ)になりました。
前回のブログの内容はこちらです↓
もっとも前回の回答だと不十分な部分があるかもしれません。
分からない部分があるようであれば再度質問をお願いします。いつでも受け付けております。回答が遅くなるかもしれませんが・・・すみません。
では前回触れることが出来なかった「もも様」の質問についてお答えしていきたいと思います。
今回は「眼鏡における通販」についての私の見解です。
この質問がなければ触れることのなかった項目であった気がします。
ただ興味のある方も多い質問のように思います。
(もも様、貴重な質問ありがとうございます)
ほとんどのアイテムがネット通販は当たり前の購入手段として定着しているかと思います。洋服であればZOZO TOWN、小売店・ブランドショップ直営のオンラインショップは当たり前にあります。それこそ通販市場が今後主流になるかのような勢いがあります。
では眼鏡・サングラスはどうなのか?
眼鏡通販の現状
眼鏡の通販は、他のアイテムに比べるとまだまだ未熟だと思います。眼鏡通販市場も少しずつ大きくなっているとは思いますが・・・
海外の眼鏡ブランド・小売店ではHPにonline shopを設けていることも珍しくありませんが、日本では殆ど見かけません。また通販を行っている眼鏡店もありますがかなり少数です。ではなぜ眼鏡の通販が広まらないのか?
理由は大きく分けて二つあります。
「消費者側の理由」と「小売側の理由」です。
消費者側が通販に消極的な理由
消費者側の理由は、皆様の理由なのでお分かりいただけるかと思います。
1、 似合うかどうか不安
これが一番なのかもしれません。
以前このブログでも書きましたが、眼鏡は似合う似合わないが掛けてみないと分かりません。他のファッションアイテムに比べて顕著かと思います。そのファッションで一番重要な部分に不安があるため、皆様がネット通販に踏み切れない部分かと思います。実際私もこの業界に何年もいますが、自分が掛ける眼鏡を購入する時、画像だけで眼鏡を決めたことはありません。実際に掛けてみてフレーム、サングラスは決めています。
そのため私は、実際に掛けたことがあるモデル以外は通販をお勧めしません。
ただ有名ブランドのファンの方でそのブランドのそのモデルでなければいけないケースもあるかもしれません。もちろんそのような考えを否定する気はありません。そのような方にとって通販は有効な手段かもしれません。
2、 アフターケアが不安
(気にしない方もいるかと思いますが・・)アフターケアのことを考えて二の足を踏んでいる方もいるかと思います。フレームに問題が生じた時、調整してもらいたい時、度付きにしたい時、通販で眼鏡を購入した場合色々と悩ましい問題が起こりえます。
元々馴染の眼鏡店があるのであれば、大きな問題はないかもしれません。ただ馴染の眼鏡店がある場合、わざわざ通販に手を出さないように思います。(あるとすれば馴染の眼鏡店では取り扱いがないモデルが欲しい時だと思います。)
ただ調整等は馴染の眼鏡店がなくても家・職場の近くの眼鏡店で行ってもらえる可能性は高いです。ただ普通の日本人であれば若干気が引けるかと思います。また眼鏡店側もいい気分はしないと思います。なぜなら直接的な儲けは出ませんし、フレームを破損させるといったリスクがあるからです。特に自店で取り扱いのないブランドに関しては色々と神経を使います。
次は小売店の理由です。
小売店が通販を率先して行わない理由
1、 まともな眼鏡店は否定的
眼鏡店の多くが通販を行っていません。むしろ否定的な態度を持っています。
ネットに疎い、オンラインショップのノウハウがないと言った理由も一部の眼鏡店にはあるかもしれません。ただ一番の理由はそんな単純な理由ではありません。
通販は、本来の眼鏡の意義を否定している
眼鏡はファッションアイテムの一つです。それを私は全く否定しません。
ただ眼鏡は医療器具でもあるのです。
昔から眼鏡には「半医半商」という言葉があります。
意味は字の通りです。眼鏡は、医療と商売を兼ねているということです。
その医という部分を忘れていなければ、通販に手を出すことはありません。
また公益社団法人の日本眼鏡技術社会(眼鏡関連では唯一の内閣総理大臣認定の公益団体)は、
通販を禁止しています。
もし通販を行った場合、協会が認定している「認定眼鏡士」という資格を剥奪されるのです。日本眼鏡技術協会は、通販に対して厳しい態度を取っているのです。
2、眼鏡は医療器具
眼鏡は医療器具です。
レンズの度数は、処方箋等によって完璧なモノを手配できるかもしれません。ただ完璧な度数であっても調整等が不十分であれば、不十分な眼鏡になってしまうのです。通販だと当たり前ですが、どんな顔をしているか眼鏡店にはわかりません。眼鏡が顔に似合う似合わないという問題も確かにありますが、視力矯正器具として考えると顔・頭の形状を確認する必要があるのです。眼鏡は調整が出来ますが、限界もあります。そのため顔・頭の形を把握する必要があるのです。顔との相性が悪い眼鏡は販売するべきではないのです。(もっとも調整の限界を超えるような眼鏡は、その方に似合っていない可能性が高いと思います)
そんな危険性をはらむ行為に対してまともな眼鏡店は二の足を踏むのです。
3、通販を行う眼鏡店は要注意
その危険性をどこまで考えているかは分かりませんが、通販に積極的な眼鏡店の技術・知識等を疑った方が良い方がよいかもしれません。そのような眼鏡店のスタンスは、「通販を行う≒格好良さ、ファッション重視」だと思います。医療器具としての眼鏡を軽んじているように思います。
通販を行う理由の一つには、遠隔地等で来店できない方にもご購入して頂きたいという大義名分があるかもしれません。もしそれが通販を行う理由なのであれば、全国の信頼を置ける眼鏡店と連携、紹介も行うべきだと考えます。恐らくそこまで考えて通販を行う眼鏡店はないのではないでしょうか。
確かに通販で眼鏡を購入しても大きな問題が起きる可能性は低いかもしれません。(似合う似合わないとは違う話です)前述の通り調整はできるからです。
ただ(繰り返しますが)問題が起きる可能性はあります。可能性は低いかもしれませんが、問題は放置して良いのでしょうか?私が古い考えなのかもしれませんが、私は放置してはいけないと考えています。そのため私は、眼鏡にとって通販は好ましくない手段だと考えています。
もっとも通販を行う店舗の販売員の技術力は高くないように思います。
真面目に自分の技術を磨いてきた販売員にとって、通販は受け入れがたいスタンスかと思います。販売員の技術力の必要性を知っている者にとっては、通販という手段に手を出すとは考えにくいのです。逆に言うと通販を安易に行っている眼鏡店は、技術力の重要性に気づいていないのだと思います。そんなスタンスをとる眼鏡店に技術力を持った販売員が集まるとは思えませんし、育てることも出来ないように思います。(もしくは理解しているがビジネスとして割り切っているだけかもしれません)
例外
視力矯正器具という観点から考えると通販は否定されて当然かと思います。ただ伊達眼鏡、サングラスであれば通販も大きな問題はないように思います。似合う似合わない、掛け心地が良い悪いは自己責任でご購入されるのであれば通販でも良いのではないでしょうか。
ではまた後日