眼鏡のある生活

素敵な眼鏡ライフを送るためのブログです。

レプリカの意義

 

前回、TART OPTICALの復刻問題について書きました。

TART OPTICAL(復刻)につて - 眼鏡のある生活

そして「Julius Tart Optical」「Tart Optical Arnel」の2ブランドに触れました。

 

今回は「復刻の是非」について書いていきたいと思います。

前回の内容は「球様」からの質問を受けてのものでした。

今回はお答えできなかった部分についてお答えします。

球様の質問でお答え出来ていなかった内容は以下の通りです。

 

〈球様の質問〉

現在日本海外問わず高品質な商品がある中、 あえて今このような40年代〜50年代のクラシックなフレームを選ぶ理由はあるのか? 言い方は悪いですが本物でないレプリカを買う意味はあるのか?

 

今回の内容は、眼鏡の話に限ったことではないのかもしれません。

全てのファッションアイテムに言えるかもしれません。

 

復刻眼鏡の意義 

結論から言いますと私は「復刻TART OPTICAL」は必要だと考えています。

その理由は幾つかあります。 

ヴィンテージの問題点

私は、ヴィンテージ物は大好きです。

明確な理由は申し上げにくい部分がありますが、漠然とした理由として「雰囲気」「ロマン」「味がある」といったところかもしれません。この漠然とした理由は、どのファッションアイテムにも言えるかもしれません。この漠然とした部分に共感を持たれる方は、ヴィンテージ愛を持たれると思いますただそこに共感を持たれない方も多いかもしれません。

 

TART OPTICALに限らずヴィンテージ眼鏡には幾つかの問題点があります。

それは「掛け心地」「耐久性」「価格」です。

 

「掛け心地」

※ここではあくまでTART(プラスチック枠)のお話なります。

 メタル枠のヴィンテージには当てはまりません

 

TART等の欧米ヴィンテージ眼鏡は、欧米人用に作られた眼鏡です。

(当たり前のことですが・・)

日本人の骨格に無理なく合わせようとすること自体無理があります。

ただこのブログを読んで頂いている方はこう思うかもしれません。

「調整すればいいじゃないか」と。

そう思っても無理はありません。

私自身がこのブログで「掛け心地は販売員の力量次第でどうにでもなります」と書いてきました。実際この文言に嘘はありません。

 

ただ残念ながらヴィンテージには同じことが言えません。

現行の眼鏡であれば普通に行える調整が、ヴィンテージでは行えない可能性が高いのです。そのためヴィンテージ好きの方にも無条件にはお勧めし辛いのです。特に鼻の部分の修正が難しいのです。やはり掛け心地が悪い眼鏡は掛けなくなると思います。高い金額を払って掛けなくなるのは勿体ないと思います。

靴にも同じようなことが言えると思います。デザイン等に惹かれても履き心地が悪い靴は履かなくなるかと思います。もっとも履き心地を全く気にしない方もいるかとは思いますが・・・

因みに眼鏡の場合、掛け心地の悪い眼鏡は見栄えも悪い可能性が高いです。簡単に言うとズレ落ちた状態です。それを良しとする方もいるかもしれませんが、そのような方の美意識に共感はもてません。

 

「耐久性」

これも殆どのアイテムに言えるかもしれません。(中には昔の方が丈夫な生地を使用していると言ったケースもあるかもしれませんが)眼鏡の場合、ヴィンテージと現行では間違いなく現行の方が丈夫です。また修理等も行うことが出来るため安心感もあります。

 

「価格」

価格は説明するまでもなくヴィンテージの方が高いです。

今回挙げているTART OPTICALの復刻モデルは4万円程度ですが、ヴィンテージは10万円を超える場合が多いと思います。場合によっては15万円程度します。

ここまでの価格差があるのに、耐久性と掛け心地が悪い場合があるのです。

 

これらのことがヴィンテージを無条件勧められない理由です。 

 

「復刻の価値」

 復刻の意義は、上記のヴィンテージの懸念項目の裏返しと言って良いと思います。

復刻眼鏡は「丈夫で掛け心地が良く比較的安価で手に入る」のです。

眼鏡として必要な要素を全て兼ね備えていると思います。

 

ここで球様の質問の一つにお答え出来てませんでした。

それは、

TART復刻はあくまでレプリカで、悪い言い方をすれば偽物。

優れた眼鏡が沢山ある中でレプリカに拘る必要はあるのか?

というものでした。

 

レプリカをお勧めする理由

私はレプリカに拘る方を否定しません。寧ろレプリカをお勧めしたいと思います。

(もちろん復刻をうたうのであれば、極力昔の雰囲気を追求するべきだと考えています)

私がお勧めしたい理由は、眼鏡の品質云々ではありません。

品質という部分だけで見ればレプリカに拘る必要はないと思います。それは球様の言う通り品質に優れた眼鏡は沢山あるからです。寧ろヴィンテージに拘らない方が品質的には良い物ができるかもしれません。また現在の一流デザイナーが作り出した美しい眼鏡を選ぶ意義も大いにあると思います。

 

ではなぜレプリカを選ぶのか

それは、

「ファッション」・「スタイル」の観点からです。

 

「1960、70年代のアメリカンファッションが好きな方」「もしくはその時代の雰囲気をファッションのアクセントで取り入れたい方」は何を掛ければいいのでしょか?

 

一流ブランドを掛けるだけではダメ

 アメリカの有名・一流ブランドは現在も数多くあります。

(またはアメリカに影響を受けたブランドも沢山あります)

現在のアメリカの一流ブランド(THOM BROWNE、BARTON PERRIRA、DITA)では、昔の雰囲気を出すことはできません。当時よりモード、ラグジュアリーの感じが強く出てしまいます。またクラシック色が強いブランド(MOSCOT、OLIVER PEOPLESの一部のモデル)でも当時のモノと比べるとデザインはアレンジされています。またMOSCOTだと若干チープです。有名なRAYBANは、そもそも現在はアメリカのブランドではありません・・・ポップな雰囲気が強くなってしまい、現行のRAYBANを掛けただけで当時の雰囲気からはかけ離れてしまいます。(もちろん敢えてそれを狙って掛ける方もいますが)

また古き良きアメリカ眼鏡に影響を受けた日本ブランドもたくさんあります。

ただどのブランドも自分たちのフィルターを通してアレンジを大きく加えています。

 

これらの「60年代風」アメリカデザインでは、ヴィンテージ・ファッション(アイテム)の観点から考えたときどのブランドも物足りないのです。

 

優れたレプリカは必要

ではそのようなファッションをしたい、取り入れたい時は、どうすればよいのか?

その答えが(完全)復刻モデルなのです。

その復刻モデルの一番手が、前回ご紹介した JULIUS TART OPTICALなのです。

このブランドであれば、当時の雰囲気を壊さずに取り入れることができると思います。もしそれでも物足りないと思う方は、ヴィンテージ眼鏡に手を出すべきだと思います。

 

このことは、眼鏡以外にも言えることではないでしょうか?

比較的身近なジャンルだと「ジーンズ」かと思います。

眼鏡よりファンやマニアが多くヴィンテージ市場は以前から成熟していると思います。

現在多く流通しているジーンズは、眼鏡と同じように当時のもと違います。

ただ当時のモノ(ヴィンテージ)に拘る方は少ないかと思います。

恐らくこんなグループに分かれるかと思います。

①「現行の有名ブランドの量産ジーンズ」で良い方

②「当時のモデルを忠実に復刻ジーンズ」が良い方

③「ヴィンテージのアメリカ生産ジーンズ」が良い方

④「デザイン性が高い・モードなジーンズ」が良い方

といった感じ分かれるかと思います。

①の方と③の方は相容れることはないでしょう。

 

眼鏡にも全く同じことが言えると思います。

そして

眼鏡において②の方グループにお勧めなのが復刻TARTだと私は思います。

 

 

 

ではまた後日。