眼鏡に価格差がある理由(単焦点レンズ編)
なぜ眼鏡に価格差があるのか?
「量販店の眼鏡」と「高級眼鏡専門店の眼鏡」は、どこが違うのか?
初めて本格的な眼鏡を購入しようと考えるとき、最初に感じる疑問かと思います。
眼鏡の価格差の違いを話す前に当たり前のことを書きたいと思います。
価格差はどんなものにもある
価格差のないモノはあるのでしょうか?
私は知りません。
洋服、車、家電、家具、カメラ、時計・・・・挙げるときりがありませんが、全て値段はピンキリです。
最も皆さん価格差そのものに疑問があるのではなく、
何が価格差を生むのかという原因が知りたいのではないでしょうか。
眼鏡に何を求められているかを考えると必然的に答えが出てくるかと思います。
眼鏡の価格差が生まれる理由は、以下の理由が考えられます。
価格差を生む主な理由
① 眼鏡が丈夫
② 眼鏡のデザイン性が高い
③ レンズが丈夫
④ 快適にストレスなく見ることができる
⑤ 眼鏡店が一流か?
全ての項目についてこのブログで書いてきました(特に①②について)が、
今回は特に③④⑤の理由について、できるだけ分かりやすく書いていきたいと思います。
「眼鏡フレームの価格差」
① ②の項目に当たります。
「安い眼鏡と高い眼鏡は、どう違うのですか?」と聞かれます。
眼鏡フレームの価格差は、単純です。難しく考える必要はありません。
洋服、靴といったファッションアイテムの価格差と同じです。
洋服・靴で高価なモノは、「丈夫」「ファッション性が高い」「凝ったデザイン」「着心地がよい」「輸入品」だと思います。(最も全てを兼ね備えたものは珍しいかもしれませんが)
眼鏡フレームも同じです。同じ理由で高くなります。
以前から説明してきた部分かと思います。ここは簡単に終わりたいと思います。
「レンズの価格差」
ここが一番分かりにくい部分かもしれません。
眼鏡フレームと同じで眼鏡レンズにも差があります。
少し眼鏡のことを調べていくと眼鏡のレンズに大きな価格差があることに気が付くと思います。
単焦点レンズは、3千円(量販店)から8万円(高級店)と大きな差があり、
遠近両用レンズだと5千円(量販店)から20万円(高級店)とさらに大きな差があります。
恐らくテレビCM等で眼鏡の価格を知った方にとっては、
レンズの価格差に大きな驚きを持たれるかもしれません。
レンズの価格差はカメラのレンズの世界に近いかと思います。
カメラのレンズも凝りだすとかなり高額なレンズが存在すると思います。
ただ最初から付属しているカメラレンズを使用するかたから、個人の好み等によって本体よりも高いレンズに交換するかた(もしくは複数所持する方)まで様々です。
(カメラに詳しくないのでネットで調べると100万円を超えるレンズも市販されているようです!!)
眼鏡も同じような世界です。
量販店のようにレンズをセット販売しているモノから、レンズだけで20万円程度するものまで様々あるのです。
では、本題に入ります。
レンズの価格差によって何が変わるのか?
まずレンズの種類によっても変わってきますので、種類ごとに説明していきます。
今回は単焦点レンズです。
単焦点レンズと累進レンズ(遠近両用レンズ)とは
「単焦点って何?」って思う方もいるかもしれませんので、単焦点について簡単に説明します。
単焦点は、
通常40歳前後までの方が使うレンズです。(老眼鏡の場合もありますが)
また眼鏡をしたままで近くを見ることに困らない世代の方が、使用するレンズとも言えます。
累進レンズは、
40歳以上の方が使用するレンズです。
眼鏡をしたままでは、近くが見え辛い方が使用するレンズです。
テレビ等では遠近両用レンズと言われることが多いレンズです。
この二つでは、良いレンズの定義が若干異なりますので、二つに分けて説明していきます。
(あと分かりやすさを追求したいので、厳密にいうと強引な解釈もあるかもしれません。ご理解頂きたいと思います。)
国産レンズブランドといっても品質は様々
量販店等のHPを見ると「国産ブランドを使用」というフレーズを見ます。
「安売り店も国産ブランドを使用しているのなら安心だな」
と思う方もいるかと思います。
ただ決して国産ブランドのハイグレードレンズな訳ではありません。
日本のレンズメーカーも様々な品質のレンズを製造しています。普通に考えれば分かるかと思います。
家電、車、カメラなど日本の大手メーカーも色々な価格帯(品質)の製品を製造しています。
日本の大手レンズメーカーも同じで、高いレンズも安いレンズも製造しています。
では、良いレンズと悪いレンズの差は何なのか?
これも簡単に書きます。
良いレンズは、「コーティング等が丈夫」「透明度が高く」「商品出荷基準が厳しい」・・・
と言った感じで、レンズの品質は違います。
良いレンズは、「歪みが少なく光学的に優れ」「長期間良い状態をキープ出来る耐久性に優れた」レンズなのです。
恐らくここまでは知っている方も多いかもしれません。
調べればすぐ分かりますし、想像もできるかと思います。
ここで終わってしまっては、このブログの意義がないので少し踏み込みます。
レンズの質は「レンズ」と「人」で決まる
ハイスペックレンズは本当に良いのか?
ここからは、違う観点から書いていきます。
そもそも品質をそこまで気にしない・気にならない方もいるかと思います。
最低限のものが備わっていれば良いと思う方も多いかと思います。
これも他のジャンルのものと同じです。「普通に写真が取れれば良い」「車は普通に走れば良い」と思っている方がいるように。
こう言った方には、高品質なレンズはハイスペック過ぎるかもしれません。
ちなみに私も高品質なレンズも廉価版のレンズも持っています。
実際に廉価版レンズを掛けても見辛いといった煩わしさを感じたことはありません。
(もちろん品質の差は分かりますが)
こんなことを眼鏡屋の人間が言って良いのか・・・。
もっとも私は眼鏡を沢山所有しているため、一つの眼鏡を長期間に渡って酷使していないというのもあるかもしれません。一つの眼鏡を長期間使う方にとっては、大きな差を感じるかもしれません。
本当の差は人
私がここでレンズ品質だけを考える方が怖いと思います。
眼鏡レンズが他の製品と大きく違う部分があります。
先ほどからカメラに例えてきました。
カメラはレンズを購入したら終わりだと思います。
この先の質は、購入した方の撮影技術次第だと思います。
(カメラに詳しくないので間違えていたら申し訳ございません)
眼鏡は違います。
眼鏡レンズは、どのようにして買うでしょうか?
眼鏡レンズを買う際、度数を決めなければいけません。
ではその度数は、どう決めるのか?
凄く当たり前のことなのですが、度数は眼鏡屋(病院)が決めます。
度数を決定し眼鏡を調整するのが、眼鏡屋の仕事です。
そこが眼鏡屋の腕の見せ所なのです。
強引にカメラに例えるなら、カメラにおける撮影技術が眼鏡屋の領域に属するのです。
撮影技術が低ければ良い写真は撮れません。
つまり良い眼鏡レンズを買っても眼鏡屋のクオリティーが低いと良い眼鏡にならないのです。その逆もあります。品質の低い眼鏡レンズでも、眼鏡屋のクオリティーが高ければ良い眼鏡が完成するのです。
眼鏡は購入者の腕は関係ありません。眼鏡屋の腕次第なのです。
低価格なレンズしか置いていない眼鏡屋で良い眼鏡は作れない
量販店に、高品質なレンズは取り扱っていません。
そのこと自体が問題なのではなく。
低品質なレンズしか扱っていない眼鏡屋には、クオリティーの高い販売員がいないというのが問題なのです。
先ほどまで、眼鏡レンズをカメラと比較して例えました。
ただ度数決定は、カメラに例えることはできません。
例えるなら料理人と言って良いかもしれません。
品質の悪い食材をクオリティーの低い料理人が調理したら・・・答えは酷いことになるのは明白です。ただ品質の悪い食材でも腕の良い料理人が調理したらある程度、旨いモノになるかと思います。しかし良いモノを知っている料理人が、品質の悪い食材を使うとは思えません。品質の良い食材を一流料理人が調理したら、それは素晴らしいモノになるのは皆さん知っているかと思います。
クオリティーの低い販売員は、お客様に適した度数を導き出すことが出来ません。
また調整技術も未熟のため、ストレスなく綺麗に眼鏡を掛けさせることも出来ません。
私個人の見解としては、レンズの品質よりも販売員の品質の方が問題なのです。
「レンズの品質」と「販売員の質」両方が低ければ、目も当てられない眼鏡になるのです。
検眼は販売員の質の差が大きく出ます。
量販店の検眼の質は、一流店からだと考えらえないことが起こります。
何故このような数値を導き出すのか?と思うことが多々あります。
なぜ酷い数値が出るかは以下が考えられます。(私の憶測も入ります)
① やらなければいけない検査を行わない。
② 取る必要のある数値をとらない
③ 度数決定のマニュアルがない。もしくは間違ったマニュアルを使っている。
④ 経験値が低い
この3点が大きな理由のように思います。
① ②は、致命的かと思います。
大げさかもしれませんが、医者が必要な検査をせずに病名を特定するようなものです。その測定を行わないと正しい度数にたどりつかない方もいるのです。確かに簡易検査だけでも正確な度数にたどり着いた可能性が高い方もいます。ただそんなのは結果論です。簡易検査だけではその度数が本当に合っているかはわかりません。詳しく調べて初めて正確な度数にたどり着くのです。
私はそんな偶然の産物で度数決定することは許せません。
➂はいまいちわからないかと思います。(④とあわせて説明します)
どの眼鏡屋にも検眼のマニュアルがあります。
(殆どないという眼鏡店もあるかもしれませんが)
これは接客におけるマニュアルのようなものではなく。
光学理論、眼鏡学といった知識に基づいたマニュアルです。
このことを正確に理解していないと度数決定は不正確なモノになります。検眼は、色々な要素が複雑に絡み合っているので、正確に理解できるようなるまでに多くの時間を要します。料理人の修行のようなものかもしれません。そんな私も15年以上この業界にいますが、いまだに勉強の連続です。
一流店だと入社して3年ぐらいしてやっと検眼を一人で行えるといった感じです。それだけ高いレベルを求められているのです。(3年したら検眼を始めるのではなく、3年の間継続的に様々な知識・技術を身に着けるのです)
三年で店舗責任者になれてしまうような眼鏡店とは全く違うのです。そもそも量販店に検眼知識を学ぶ時間はありません。そのため知識が浅い販売員でも度数を導きだせるような簡易的なマニュアルのもと度数を決定しているのです。その簡易マニュアルでは対応できない方は、多くいます。その対応が出来ない方にも簡易マニュアルに強引に当てはめるので、大きな間違いが起きてしまうのです。
その度数で上手くいけば良いのですが、上手くいくかどうかは賭けです。賭けるかどうかは、ご自身の判断にお任せします。
次回は多焦点について説明していきます。
本日はここまで。