ファッションブランドの眼鏡①(gladhand,gelado)
オリンピックに夢中になりまたまた更新が滞りました。
また今回も私のブログに寄せられたコメントについての回答という形を取りたいと思います。
では今回は「アメリカ」様の質問にお答えします。
(幾つか頂きましたがこの質問にお答えします。その時々の気分でコメントの質問を選んでいますので、昔の質問も今後回答させて頂くこともあるかと思います)
日本ファッションブランドの眼鏡
では今回の質問の要約です。
「アメリカ」様は、当ブログがきっかけでeyevan7285のモデル319をご購入された方です。
因みにeyevan7285の319とはこんなモデルです↓
写真で見ると一見普通に見えますがパーツパーツ一つがかなり凝ったモデルです。
その結果高級感があり大変魅力的なモデル(ブランド)です。パーツを凝るだけでなくファション性も高いブランドです。
質問は幾つか頂きましたが、気になった質問は以下の二つです。
① matsuda、エナロイドはどう思うか?
② ファッションブランドのgladhand(モデルJ-IMMY GLASSES ORNAMENT)、jelado(モデルManhattan)、varde77(モデルONTARIO TYPE2)はどう思うか?こだわりが強いがコスパが良いとも書かれているがどう思うか?
この二点です。
順番が逆になりますが、②のほうから書いていきます。
というのも今回この質問を頂いていなかったら、このブログで書くことはなかった題材だったと思います。なぜならこれらのファッションブランドの眼鏡に興味がなかったからです。
ただファッションブランドの眼鏡全般に興味がないわけではありません。むしろ世界的メゾンブランドや世界で活躍する日本のアパレルブランドのサングラス等は常にチェックはしています。
それこそ以前このブログでもファッションブランド(ライセンスブランド)について書いたことがあります↓
アパレルブランドとは?ライセンスブランドとは?① - 眼鏡のある生活
アパレルブランドとは?ライセンスブランドとは?② - 眼鏡のある生活
アパレルブランドとは?ライセンスブランドとは?③ - 眼鏡のある生活
日本国内で展開しているコア?なファッションブランドの眼鏡については殆どチェックしたことがありませんでした。(好きなブランドは気にしていますが・・・)
ネットで調べてみた
そのためこの質問を頂いてから少しネットで調べてみました。
(自分の知識の幅を広げられるのでこのような質問はありがたいです)
本来なら実物を見て評価するべきですが、ネットの情報である程度判断できるものでしたので考察を書いていきます。
調べた結果の感想を一言で書くと、「ネットで十分」でした。実物を見たいと思いませんでした。
gladhand、jelado、verde77の眼鏡について調べてみました。
では私なりの見解を書いていきます。
殆どがネガティブなものになります。
三ブランドに共通する部分もあります。
総じて言えるのは、良い物に見せるためのフレーズを上手く使っていると感じます。
ではそのフレーズ毎にコメントを入れていきます。
「 」がブランドのセールストークで、その下が私の思ったことです。
?な売り文句
gladhandの売り文句
gladhandの眼鏡↓
悪い眼鏡という印象は受けませんでした。
ありそうでないデザインなのでデザインに惹かれた方には良いかもしれません。
ただ気になる部分もあったので挙げていきます。
もしくは今後のネット等で眼鏡を調べる時気を付けた方が良い言葉を解説します。
(ちなみに今回挙げるgladhandの言葉を全てのお店が使っているわけではありません。私も納得できるような言葉で紹介している店舗もありました)
①「磨けば磨くほど照りの増すセルロイド」
またこの売り文句を見ると革製品と同じようにエイジングを楽しむことが出来る素材と想像してしまうと思います。ただ革製品とは全く違います。コードバンやブライドルレザーのように美しい経年変化はしません。眼鏡は劣化をしていく一方です。買ったときが一番照りがあります。セルロイドとの相性が良い方で照りが比較的継続する方もいますが、掛ければ掛けるほど劣化は進みます。
確かに磨けばある程度元に戻すことはできます。
(何年か使用した後だと磨いても照りを戻すのにも限界があります)
ただ誰が磨くのでしょうか?
眼鏡は靴等の革製品と違いユーザーの方自身で磨くこと基本出来ません。
眼鏡屋にしかできません。
②「○○という職人がハンドメイドで作る」
この紹介文自体は悪くありません。
ただ注意して頂きたい点を書いていきます。
本格眼鏡ブランドは、基本全てハンドメイドです。(ハンドメイドの定義にもよりますが)
そしてハンドメイド=職人が作っています。
職人の「個人名」で眼鏡を売り出すやり方は以前からあります。
金子眼鏡(有名ファッションビルによく入っています)は、この売り出し方で急成長したと記憶しています。「○○謹製」といった職人の名前をブランド化したのです。
昔から(現在も変わらず)ハンドメイドが当たり前であったため、眼鏡業界は敢えてハンドメイドを売りにしてなかったように思います。そして金子眼鏡はハンドメイドを分りやすく伝えるために職人の名前を全面に出したのです。画期的な売り出し方だったと思います。消費者目線を考えてのブランディングという今では当たり前の考え方を眼鏡業界にいち早く取り入れたのでした。
敢えて職人の名前を出すことによって「凄く良いものに」見せるブランディングに成功した事例かと思います。
③「一生ものの眼鏡」
そんなものはありません!!!
少し言い過ぎました「べっ甲」「18金」の眼鏡は一生ものです。
(ただメンテナンス、修理コストはかなりかかります。修理毎に普通の眼鏡が買えると思います)
通常のプラスチックフレームは、絶対に一生は使えません!!!
毎日使うなら5年使えれば御の字です。10年使い続けたらかなりの驚きです。
プラスチックは折れたら修理が出来ない可能性高いからです。
①で説明した通りプラスチック枠は掛ければ掛けるほど劣化するのです。
では次はjelado
jeladoの売り文句
jeladoの眼鏡↓
こちらのブランドは?が多かったです。
一見きれいですが・・・
①「一般的な5万円クラスの眼鏡レベルの物作り」
「アメリカ」様に聞いて凄く興味がわいたフレーズでした。
日本のファッションブランドで5万円レベルの物作りするのは凄いと思い興味が湧いたからです。
ただ調べてみると、
?な文句です。
映像、説明を見る限り5万円は絶対にしません。
この眼鏡の定価は、3万円のようですが適正だと思います。安くも高くもないです。(もっと安い価格を付けるブランドがあっても驚きません・・・)
何をもって5万円としたのでしょうか?
(5万円程度で販売されている品質の悪い海外ブランド品と比較したのでしょうか・・・)
コメ主のアメリカ様は、EYEVAN7285の319を所有されているようですね。
コメ主様のEYEVAN7285の方がjeladoより圧倒的に凝っていませんか?
そしてそのEYEVAN7285は、5万円しませんよね?
5万円のモノづくりでは決してありません。
②「型流しでなく削り出しのハンドメイド」
詳しい製法の説明は省略します。
型流しの眼鏡は、そもそもかなり安価なフレームで使用される製法です。
本格眼鏡では基本使われない製法です。
削り出しというと凄いことを行っているように思いますが、本格眼鏡では普通な製法なのです。眼鏡業界では当たり前過ぎのため、わざわざ語られることは少ないのかもしれません。
③「イタリア製のアセテートを使用」した理由?
アセテート=プラスチック生地のことです。
何故イタリア製のアセテートを使っているのでしょうか?
確かにイタリアのアセテートは有名です。凄く有名な有名メーカーもあります。
確かに一流メーカーと言って良いと思います。
ただこのイタリア製アセテートには、メリットデメリットがあります。
イタリアアセテートの長所は、「発色の良さ」「色の表現力」です。
そのためファッションに強いブランドには昔から支持されています。
短所は、プラスチックの品質です。
短所な品質=プラスチックが「柔らかい」ということです。
(勿論触って柔らかいかはわかりません)
柔らかいと何の問題があるかと「フレームが歪みやすい」のです。歪むと掛け心地は悪くなるのは想像できるかと思います。七枚丁番を使用しているようですが、丁番が堅牢であってもプラスチックが柔らかければ意味がありません。
その反面、日本製アセテートは硬いことで有名です。
そのため日本製アセテートを使用する眼鏡ブランドも多いのです。
またこのモデルでイタリア製アセテートを使用する理由が不明です。
jeladの「MANHATTAN」というモデルは、アメリカのヴィンテージ(TART OPTICAL社の眼鏡)を参考にしていると書かれています。質実剛健なアメリカヴィンテージを参考にしているのに、ファッション性重視のアセテートを使用した意味がわかりません。日本製アセテートを使用した方が良いのではないでしょうか?
話が少しそれます。
アメリカヴィンテージを代表するTART OPTICAL
TART OPTICALは、アメリカヴィンテージ眼鏡市場ではかなり有名で人気があります。
1950年から70年代のアメリカを代表するプラスチックフレームのブランドです。
(ジョニーデップがこのTART OPTICALのヴィンテージを掛けていることでも有名です)そのため今の眼鏡にも多大な影響を与えています。
MOSCOT、OLIVER PEOPLES等・・・は間違いなく影響を受けています。また当時のTARTを復刻したモデルも何度も発売されています。ただそのほとんどが微妙な出来であったように思います。(TART社は現存しておりません。そのためTART社とは直接関係のない会社から発売されていたので致し方ないのかもしれません)
忠実な再現をしたJULIUS TART OPTICAL
そんな中、1年程前にかなり当時に近い状態で復刻されました。
今までにはないレベルでの復刻モデルです。
そのブランドとは「JULIUS TART OPTICAL」です。
こんなブランドです→JULIUS TART OPTICAL
TART OPTICAL社で働いていた親族が当時の図面を基に復刻したブランドです。(版権のせいでTART OPTICALという名前は使用できていません)
かなり当時のモデルを再現できていると思います。
そしてこのブランドは日本製の生地を使用しています。
品質は高いと思います。
④「飾り金具まで職人が手で付ける拘り」
これも普通です。
飾り金具は手仕事が普通です。
⑤「板状生地の約60%が無駄になる」
これも当たり前です。
アセテートの板から削り出して眼鏡は作られるのです。
削り出しと言うことは、レンズの部分や鼻部分など削り落さなければいけない部分があるのは容易に想像できるかと思います。嘘ではありませんがこれも当たり前過ぎて書かれてこなかったように思います。
まとめ
ここまで2ブランドについて書いてきました。
(長くなったのでもう1ブランドは次回に回します)
「上記ブランドの眼鏡紹介文を読んだ私の感想」
悪いモノを作っているとは思いませんが、魅力を感じることはありませんでした。
悪いモノではないので、デザインに惹かれたのであれば良いかもしれません。
今回勉強になったこともあります。
それは眼鏡業界では当たり前すぎて麻痺している部分があると思いました。当たり前だと思い語ることを忘れている部分です。エンドユーザーが欲している情報、魅力的に感じるフレーズというものを把握する必要性を感じました。
服屋に置かれているファッションブランドのオリジナル眼鏡に興味を持たない・印象がない理由を思い出しました。職業柄眼鏡には目がいきます。ただケース越しであっても感じるモノがないのです。触ってみたい、掛けてみたいと思うモノがないのが大きな理由です。
ではまた後日。