眼鏡のある生活

素敵な眼鏡ライフを送るためのブログです。

遠近両用レンズの価格差とは?

 

前々回は単焦点レンズの価格差について説明しました。

前回は今回のテーマ「遠近両用レンズの価格差」の理解をしやすくするために、「老眼・遠近両用レンズ」の基本的な部分について説明しました。

 

では、今回の本題です。

遠近両用レンズの価格差とは?

 

何故「高級店の遠近両用レンズ」と「量販店の遠近両用レンズ」には大きな価格差が生じるているのか?(それこそ安い店だとフレームとレンズ合わせて1万円というものもありますが、高級店では高いとレンズ一組で20万円するものまであります)

 

 単焦点レンズ以上に品質の差は大きい。

遠近両用レンズは、単焦点の価格差の説明とは少々異なります。

 

単焦点の時の説明を簡単にまとめます。

同グレード(球面、非球面...)の普通のレンズであれば、レンズそのものに大きな差はない。長期間使った場合の耐久性に関して差はでるが、新品を掛けた時に差を感じる方は少ない。

(もっとも量販店では、取り扱いがないハイグレードなレンズもあります。ただ弱い度数の方でれば、そこまでのハイグレードレンズは必要ありません。)

一番差が出るのは、度数を決定する販売員のクオリティーの差である

こんな内容を書きました。

 

この内容だけで終わってしまうと遠近両用レンズについての説明は足りません。

 

遠近両用レンズは、レンズそのものに大きな差がある

遠近両用レンズは、高級店と量販店の品質の差が大変大きいのです。

 

別物です。

 

単焦点レンズだと、同じ度数であれば掛けた瞬間に差を感じる方は少ないと言いました。

しかし遠近両用レンズは、全ての人が差を感じます。

しかも微妙な差ではなく大きな差を感じます。

レンズそのものに大きな差があるのに、ここにさらに販売員のクオリティーの差が加わります。

結果、本当に別物なのです。

 

商品名は遠近両用レンズですが、全く違うものなのです。

 

遠近両用レンズの品質の差とは

 遠近両用レンズの質が違うと何が違うのか?

思いの外知られていません。

 

一言で言うと、視野が違います。

 

どんな差があるかは下のサイトでまとめてありますので参考にしてください。

ニコンレンズウエア | 遠近両用レンズ

 

白く曇っているところは、理論上見えない部分になります。

上が最上級、下にいくにしたがってグレードが下がります。差は一目瞭然かと思います。

 

 

遠近両用レンズは、一つのレンズ内で度数が5段階から10段階程変化します。

その変化がどうしても無理生じてしまいます。その無理が生じた部分は、光学的に歪んでしまいます。(歪んでいる=見ることが出来ないと思っていただいて良いと思います)

この歪みの範囲を視野の周辺部分に持って行き見え方に影響がでないようにします。しかしどんなに良いレンズでも歪みをゼロにすることはできません。

 

遠近両用レンズの良さは、その歪んだ部分が極力少ないレンズと言えます。

遠近両用レンズが生まれて何年も経ちますが、各社この歪みを極力少なくするために開発競争が行われています。その開発競争による進化で、少し前の遠近両用レンズと最先端の遠近両用レンズには雲泥の差があります。

この雲泥の差がある遠近両用レンズが同じレンズとして語られるには少々無理があります。

 

他の商品で例えてみます。

今のテレビやビデオカメラは大変綺麗に映っていると思います。それが今の遠近両用レンズだとしたら、質の悪い遠近両用レンズはアナログ放送・ビデオテープで未だに見ているようなものです。

皆さん老眼が入る前は、眼鏡をしたまま近くも遠くも綺麗に見ることが出来たと思います。その当たり前だった世界が少しでも劣ったらストレスを感じるのは当然ですが、良い遠近両用を掛ければ、そのストレスを極力減らすことが出来るのです。

 

遠近を最初から敬遠している方たちの傾向 

 

遠近両用レンズの品質には大きな差があります。視野の広さに大きな差があります。

この品質(視野)に大きな差があるのですが、

 

遠近両用レンズが全て同じもの」だと思っている方が珍しくありません。

 

この大きな誤解が遠近両用レンズの普及を阻害していると言えます。

我々高級店で働く人間にとっては、大変迷惑な問題でもあります。

(もっともこの問題のおかげで、高級眼鏡店が信頼を勝ち取れるきっかけになっているのもまた事実です)

 

他の商品では、品質に差があることは皆さん知っているかと思います。

それこそフレームに品質の差があるというのは、殆どの方が当たり前のように知っていると思います。(どこに品質の差が生まれるのか詳しく知らなくても、良いモノと悪いモノには理由があるはずとは思っています)

信じられないかもしれませんが、眼鏡レンズは同じだと考えている方が多いのです。

 

何故遠近両用レンズは、一括りにされてしまっているのか?

 アンケートを取ったわけではないので、確かなことは申し上げられませんが、恐らく答えは単純です。遠近両用レンズがそこまで認知されていないです。

前回書きましたが、老眼自体勘違いされているので致し方ないかもしれません)

 

接客をしていると、お客様が遠近両用レンズを全て同じだと勘違いしていると感じることが良くあります。

 

誤解しているお客様の発言パターンは幾つかあります。

 

勘違いしている方の発言パターン

「昔、遠近両用レンズを試したが使えなかった」

「友人(知人)が遠近両用は使えないと言っていた」

遠近両用レンズは、歪んで見えて怖い」

 

という方が未だに多いです。

 

確かに遠近両用レンズには、これらのリスクはあります。

ただその確率は大変低く、それこそ一昔前の話なのです。

もしくはグレードの低い遠近両用レンズに当てはまる感想なのです。

量販店の時代遅れな遠近両用レンズのせいで、遠近両用レンズの普及の足を引っ張っていると感じます。遠近両用レンズは、自分には使えない(使えなかった)。その使えないレンズに対してレンズだけで5万円も使いたくない。と考えてしまう方を増やしているのです。(恐らく良い遠近は5万円というのが一つの基準かと思います。店舗によって若干の差はあると思いますが)

 

 そのため私は、遠近両用レンズで上記のようなことをおっしゃるお客様には、

以下のことを聞きます。(もしくは気を付けます)

 

「何年前の話ですか?」

「どんな眼鏡店で試しました?」

 

この2点が大変気になります。

大体の場合が、本人(知人・友人)が「量販店で試した」「10年程前に試した」という場合が殆どです。

または「10年前に量販店で試した」という最悪なケースもあります。

友人・知人の風評被害のようなもので試したこともないのに断念する方すらいます。

 

このような誤解を持ったお客様に遠近両用レンズを試していただくと、

拒絶していたとは思えない程良い反応を頂くこと大変多いのです。

そして殆どの方が遠近両用レンズを使ってみたいと決断して頂けるのです。

そして今まで敬遠してい時間の勿体無さに後悔されるはずです。

 

販売員のクオリティーの差が大きくでる 

遠近両用レンズ自体に大きな差があることに加え、ここに販売員のクオリティーが加わってきます。単焦点レンズの回でも申し上げましたが、良い眼鏡になるかどうかは販売員のクオリティが大きく左右します。

 

そして遠近両用レンズの場合、単焦点レンズ以上に差がでます

 

販売員の知識・経験の差が影響してきます。

 

①度数決定の質

単焦点レンズの場合、最適な度数からの若干の誤差であれば、問題が起きる可能性が低いと思います。(勿論少しの誤差も許容できない方もいますが)

しかし遠近両用レンズは、若干の誤差で問題が生じる可能性が高いのです。色々な面を考慮して総合的に判断する必要があり経験・鍛錬を積んでいない人間には難しい部分になってきます。

(「色々な面」を説明すると大変長くなるので、ここでの説明は避けさせて頂きます)

 
②調整技術の質

 

また遠近両用レンズは、度数設定以外にも重要なことがあります。

それは掛け心地=調整です。

 

勿論掛け心地は、どんなメガネ、サングラスでも重要な要素になります。

 

遠近両用レンズの場合、掛け心地が見え方に大きな影響を与えます。

 

遠近両用レンズの場合、

度数が合っていても見え方に若干の違和感が生じたることがあります。

理由は、大きく2つあります。

 

一つは単純に掛けている眼鏡位置がずれている場合。

もう一つは、お客様のモノを見るときの癖があります

 

「見るときの癖?」と思うかもしれません。

皆様気づいていないと思いますが、全ての方に見方の癖があります。個性と言ってもいいかもしれません。

顎を上げ気味の方、逆に顎を引き気味の方、下目使いが苦手の方・・・本当に様々です。この個性のせいで遠近両用レンズに違和感が出てしまうのです。(気にならない方、すぐ慣れられる方も多いです)

その個性に眼鏡を合わせる必要があるため調整が必要になるのです。

その調整技術もまた販売員のクオリティーに左右するのです。

 技術のない・知識のない・経験のない販売員・眼鏡店では、この調整技術が疎かにされています。その結果、品質の悪い遠近両用レンズでも掛けることができた人でも掛けられない眼鏡になってしまう方も多いのです。

 

量販店の遠近両用レンズと高級店の遠近両用レンズは、本当に別物なのです。

別物なので商品名は・呼び名は変えた方が、消費者のためにもなると思います。

もしくは市場をもっと成熟させていく必要が、我々当事者にもあるのかもしれません。

 

ではまた後日。