⑤OLIVER PEOPLESのお薦め出来ない点
前回までOLIVER PEOPLESの良い部分のみ書いてきました。
今回はOLIVER PEOPLESの問題点について書いていきたいと思います。
ただ問題点と言えないようなこともあるかもしれません。私の主観による見解ですので、私が好きになれない部分を中心に書いていきます。前回まで書いてきた「OLIVER PEOPLESの良い部分」が人によっては、お勧めできない部分になるかもしれません。
ファッション性は本当に高いのか?
無難なデザイン
OLIVER PEOPLESのファッション性は、そもそも価値あるものなのか?
私がこの業界に入った、OLIVER PEOPLESは「憧れのブランド」・「欲しいブランド」の一つであったように思います。ただこの業界に長い間従事しているため、眼鏡を見る力は付いていると自負しています。OLIVER PEOPLESで評価しているモデルもありますが、多くのモデルはマーケティング重視によって生まれたモデルです。そのため無難なデザインの眼鏡が多いのです。そのためファッションに合わせようとしたとき、OLIVER PEOPLESだと物足りないと感じることが多いのです。
様々なジャンルの眼鏡を作っているブランドですが、「このモデルでないといけない!」「どうしてもこのモデルが欲しい!」といったことが殆どありません。このジャンルなら「あのブランドの〇〇が良いな・・・」と言ったことが起きてしまうのです。
代えがきくブランド
OLIVER PEOPLESが欲しいお客様に眼鏡を紹介するときも同じです。
お客様の要望・容姿・趣向を把握できると、OLIVER PEOPLESでないブランドを紹介したくなります。(もちろん要望を聞いた結果、OLIVER PEOPLESが良い場合もありますが)
今までこのブログでお勧めしてきたブランドを紹介したくなります。
OLIVER PEOPLESを求めている方の殆どが、OLIVER PEOPLESでなければいけない方は少ないように感じます。殆どの方が漠然とOLIVER PEOPLESを希望しているようにも思います。
信じてはいけない決まり文句
「友達に薦められた」
「雑誌で見た」
「以前掛けていて気に入っていた」
こんな理由の方が多いかと思います。
もちろんどれも購入動機として自然なことかと思います。
ただどれも盲目的に信じてはいけません。
「友人に薦められた」
果たして友人は眼鏡に詳しいのでしょうか?
数ある眼鏡からOLIVER PEOPLESを選んでくれたのでしょうか?
甚だ疑問です。それこそファッション関係の方でも眼鏡だけは、トンチンカンな方と言うのも珍しくありません。
「雑誌で見て気に入った」
これも大変危険です。
元々探しているデザインが明確にお持ちの方であれば、カタログ感覚で見つけるのは効率的で良いかもしれません。ただ殆どの方は、雑誌に載っていてブランドイメージ、スタイリングなどによっておpを憧れに近い感情を持たれています。でも雑誌によく出るのは当然です。OLIVER PEOPLESは、大きなブランド(会社)なため広告に多大な労力を咲くことができます。そのブランドが発信する「イメージ」という実態のないものを刷り込まれているのだと思います。結果、刷り込まれたイメージと気がつかずに「OLIVER PEOPLESが欲しい!」と思ってしまっているように思います。
「以前掛けたことがあって気に入っていた」
これももちろん間違いではありません。
では、あなたは今までにどれだけの眼鏡をかけてきたのでしょうか?
「様々な眼鏡を掛けてきた」「一流店で購入し、調整してもらっている」
この二点とも満たしていないのであれば、その体験による根拠は薄いと言わざるを得ません。薄い根拠のもとの判断が正しいとは言えないことは明白かと思います。もっとあなたに合った良いモノがある可能性を捨てないでください。
OLIVER PEOPLESを盲目的に欲しいと思っている方でも、こちらが丁寧に違うブランドをお薦めすると気に入って頂き他ブランドを購入されることが多いです。
一度冷静になって眼鏡選びを行ってみてください。
評価すべきBARTON PERREIRA
前回OLIVER PEOPLESのコストパフォーマンスの良さを指摘するため、バートンペレイラ(BARTON PERREIRA)を比較対象として挙げました。そこだけを見てしまうとバートンペレイラは、OLIVER PEOPLESよりコストパフォーマンスが悪く劣っているように感じてしまうかかもしれません。実際その部分だけを抜き取るとバートンペレイラの方が分が悪いかもしれません。
ただ前回も書きましたが、私はバートンペレイラの方を評価しています。
では何がバートンペレイラの方が優れているのか?
バートンペレイラは、OLIVER PEOPLESよりも上品で、こだわりの「強いデザイン」「作り」をしています。
特に大人の方には圧倒的にバートンペレイラがお勧めなのです。
このブランドが使う生地(プラスチック)は、どれも綺麗で上品です。これはバートンペレイラが特別にオーダーした生地を使っているのです。またプラスチックの質感等にも拘っているため独特な高級感も併せ持っています。
またデザインもやり過ぎないが個性も出すという難しい加減が絶妙なのです。
アメリカでは、この二つのブランドは差別化が行われています。
バートンペレイラは「ファッショ感度が高い高級ブランド」、OLIVER PEOPLESは、色んなショップで購入できる「エントリーブランド」といった感じのようです。特に海外で販売されているOLIVER PEOPLESは、「日本製でないもの」=「イタリア・中国製」が多く流通しています。(日本に流通しているものは日本製のみです)
日本と海外ではモノが違うことが、原因の一つかもしれません。因みにバートンペレイラは、日本製に対して拘りが強いを持っているため世界中で日本製のものしかありません。
ダブルスタンダードなOLIVER PEOPLES?
二種類のOLIVER PEOPLESがある
昔、同じモデルの「アメリカ企画(海外製)のOLIVER PEOPLES」と「日本企画(日本製)のOLIVER PEOPLES」を見比べる機会がありましたが、同じモデルとは思えませんでした。日本企画のモデルの方が凝った作りで高級感もありました。それこそ素人の方が見ても違いがわかるレベルでした。そして驚くことに「日本製の眼鏡の方が安い」のです。それが8年前ぐらいだったと記憶しています。
最近のOLIVER PEOPLESにも、中国製・イタリア製が存在しています。日本では流通していませんが、海外では流通しています。もしかしたら日本国内にも組み立てのみ日本で行い、パーツは中国製というモデルもあるかもしれません。ただ品質として問題を感じたことありません。問題がないのであれば、仮に中国製パーツが混ざっていても良いかと思っています。(因みに組み立てのみ日本でも日本製を名乗ることはできます)
普通のブランドは世界同一基準
様々なファッションブランドが、ブランドのイメージ戦略を重視しています。
その結果、世界同一基準で展開していきます。
同一基準と言うのは、価格・イメージ・展開の仕方全てが同じ基準で展開するのです。その結果、ライセンス商品やそれに近い商品は年々減っています。
(最近では、バーバリーが三陽商会から離れたことはニュースになりましたが。これも似たような理由だと記憶しています)
眼鏡の社会でも同じことが言えます。
海外の有名眼鏡ブランドの殆どがイメージ戦略に長けていますし、細心の注意を払っています。その結果が、最近の海外ブランドの価格が年々高くなっている原因ともいえます。(以前から眼鏡の価格は、日本市場は安く、海外市場は高いのが実情でした。比較的最近になって、この価格の差異を埋める試みは定期的に行われています)
前々回このことは書きましたが➡
リーズナブルなブランド・OLIVER PEOPLES③ - 眼鏡のある生活
この少し捻じれた状態が今後のOLIVER PEOPLESが先行き不透明な部分でもあります。
流通する国によって商品展開をここまで異なるブランドは珍しいかと思います。(通常、アジアで展開するモデル、欧米だけで展開するモデルというのは珍しくありません。ただOLIVER PEOPLESのように品質まで異なるというブランドは、珍しいように思います。)
劇的に変わってしまう可能性があるOLIVER PEOPLES
OLIVER PEOPLESは、大きな会社です。
というか世界で圧倒的に大きい「イタリアのLUX OTTICA社」傘下のブランドです。傘下に入ったのが10年弱程前です。丁度そのころから中国製、イタリア製のOLIVER PEOPLESが生まれてきたように思います。
今後、OLIVER PEOPLESは、どうなっていくのでしょうか?
「世界基準」というブランド展開におけるセオリー通り、日本製のモデルが減ってきてしまうのでしょうか。可能性がゼロと言えないようにも思います。世界的ブランドのOLIVER PEOPLESが、日本だけ特別に今のままで行くとも思えません。
ただすぐに日本製のモデルがなくなるとも思えません。
OLIVER PEOPLESの日本製は、昔からオプテックジャパン(日本の有名メーカー)が手掛けています。ただあくまでOLIVER PEOPLESとオプテックジャパンは別会社ですので、オプテックジャパンとOLIVER PEOPLESの関係が解消される可能性も否定できません。仮にオプテックジャパンとの関係が解消されてしまうと日本製のOLIVER PEOPLESは一気に縮小されてしまうと思います。
ここまで日本で成功しているOLIVER PEOPLESですが、大きな舵をきる可能性を否定できないのには理由があります。
LUX OTTICA社は、品質よりもブランドのイメージ戦略の方が売り上げに直結することを誰よりも知っているからです。
RAYBANの実例
一つの事例から推測できます。
それは現在LUX OTTICAの傘下のRAYBANの事例です。
元々品質の高さが売りであったアメリカ製(ボシュロム社製)のRAYBANを買収しました。買収後、イタリア製(もしくは中国製)に切り替え品質は明らかに下がりました。しかし過去のブランドとなり廃れたブランドのRAYBANが、ご存知の通り知名度も人気も抜群のブランドに急成長しました。
この事例を見てもLUX OTTICAの判断によって、OLIVER PEOPLESの展開の仕方が急激に大きく変わる可能性は大いにあると思います。最も現在はOLIVER PEOPLESは人気ブランドのため、大きなテコ入れはないかもしれません。しかしこれからも今と変わらないのも疑わしいものです。
そのためオプテックジャパンとの関係が途切れたとき、大きくブランドが刷新されるかと思います。
眼鏡・サングラス市場は、欧米が圧倒的に大きいため日本での事情は考慮されないことも珍しくありせん。そのため日本でのイメージが、そのままグローバルのイメージに直結しないことも珍しくありません。OLIVER PEOPLESもその一つで、日本では高級でファッション性の高いブランドですが、海外だともっとカジュアルなブランドとして考えられています。今後、世界的な流れに会わせていくことも想像できます。
以上のことから眼鏡好き、ファッション好きの方からはそこまで評価されていないブランドかなと思います。ただビギナーの方には、お勧めしやすいです。まず最初に買う本格眼鏡としては、大変お勧めなブランドがOLIVER PEOPLESなのだと思います。
ただ今後大人の事情により大きくブランド自体が変わる危険性をはらんでいるのです。
では次回。