①高品質な良い眼鏡(その四)
999.9の話で話がそれましたが、元に戻そうかと思います。
「良い眼鏡と安い眼鏡はどう違うの?」
と聞かれることがあります。
良い眼鏡は、丁寧に作られているため品質が高くなります。品質が高い眼鏡は、掛け心地を保ち、仮に崩れても掛け心地を直せる眼鏡です。そして高品質な眼鏡は細部にわたって丁寧に作られています。
では「丁寧に作るとはどういうことなのか」をお教えします。
目次
メタルフレーム編
溶接がしっかりしている
普通のメタルフレームは、パーツパーツを溶接して作られています。その溶接箇所の出来は、品質に大きく関わってきます。見た目では分かりにくいのですが、長く使うためには重要な部分です。
溶接技術は日本製と海外製では大きな差になってきます。(もちろん3プライスショップのものは良くありません)。価格の高い日本製はしっかり溶接されています。逆に価格が高くても外国製の眼鏡の溶接は貧弱です。
溶接が丁寧に行われていなければ、簡単に折れます(厳密に言うと折れるのではなく、ロー離れと言って溶接部分が離れる)。
特にチタン製の差は大きいです。時々、「4万円もしたのに折れた!!」というクレームを聞くことがありますが、海外製では珍しくありません。丈夫だから4万円もしたのではなく、デザインなどの凝り方・インポートだから4万円しているのです。もし仮に店員に「丈夫だから安心してください」と言われたのであれば遠慮なくクレームを言ってください。
色が剥がれにくい
カラーがしっかりしているブランドは、溶接もしっかりしていることが多いです。カラーも溶接も丁寧に時間をかける必要がある工程です。ただ店頭では差が分かりにくい部分です。「外見では分かりにくい部分にも時間を掛ける」いかにも日本人が得意とする工程です。
メタルフレームの場合、色が剥がれると芯がね(シルバー色)が剥き出しになります。カラーフレームの場合、剥がれたところだけシルバーが剥き出しにになるため、かなり汚くなります。最近は、クラシック眼鏡が流行っているため金、銀系のメタルが多いので仮にはがれてもあまり目立ちません。また金銀色は、どのブランドもカラーは比較的強いです。
またカラーは見た目だけではありません。カラーをすることによって金属が剝き出しになりません。金属をコーティングすることによって、金属の劣化を防ぐとともに金属アレルギーなどから守る役割もあります。そのためカラー(メッキ)は、長く使用するという意味で大変重要な役割を担っているのです。
剥がれやすそうなカラーの見極め方として、ペンキで塗ったような厚塗りな感じのものは剥がれやすいことが多いです。またカラフルなフレームも剝がれやすいことが多いです。(一部カラフルでも強いものもありますが、そんなブランドは大変少ないです)
プラスチック編
質の良くないプラスチックは、素材が柔らかい。
通常眼鏡に使われているのはアセテートという素材です。アセテートの中でも硬いものと柔らかいものがあります。柔らかいアセテートを使っていると単純に歪み易く広がり易いです。そのため良い状態をキープすることが難しくなります。
海外ブランドは柔らかいプラスチックを使用していることが多いです。
(特に鮮やかな色のフレーム、ライセンスブランドに使われることが多い)
ブランドも自覚しているため、「バネ蝶番」を使用することがあります。
バネ丁番・・・ネジでつながれている部分が、スプリングによって外側に動く構造。こんな構造です↓
https://www.taiyomegane.com/company/repair/1345/
バネ蝶番の使用により掛け心地(幅の抑えつけ)が押さえつけが弱くなり、楽に感じる方が多いと思います。
ただ一番の理由は、歪み防止・広がり防止です。バネの動きにより力を逃がしてくれるのです。そのため柔らかい素材を使用していても広がりにくくなります。もし柔らかい素材で、バネ丁番なしで作ると簡単にテンプルが広がってしまい、すぐ緩くなってしまいます。
ときどきバネ蝶番は手間が掛かっていると思われますが、むしろ手間をかけないために使用していることが多いのです。
バネ蝶番が仮に素晴らしいパーツであれば、日本のブランドも使うと思います。何故使わないかと言うと、バネ蝶番は故障が起きやすいのです。パーツが増えるため破損する可能性の箇所が増えます。またバネ蝶番には、スプリング等が入ってます。そのスプリングが錆び易いのです。
特に海外ブランドのバネ蝶番は質が良くないものが多いです。またデザインの邪魔にならないように、バネ蝶番を細くしたり交換出来ない構造にする場合もあります。そのためより壊れ易くなっているのに、修理ができない場合もあるのです。
パーツの精度が低い。
特にメタルを使ったパーツの精度が低いです。(プラスチックのメガネでもメタルは使われています)
日本のブランドは一つ一つのパーツの誤差が少ない。
そのため出来上がったパーツをただ組めば完成します。当たり前のことに思われるかもしれませんが、実は当たり前でもないのです。粗悪な海外製はパーツの個体差が大きいため、ただ組んだだけでは綺麗に組み立てられない。いびつなメガネになるため、微調整を行う必要が出てきます。
海外ブランドの中には、酷い場合だと微調整ではすまないこともあります。その場合パーツを大きく削らなければいけません。強度を保つために必要な厚みにしてあるはずのパーツを大きく削る…良いはずがありません。つまり新品のメガネにキズを入れているのです。亀裂を入れられたパーツ・薄くなってしまったパーツ・・・新品なのに既に傷んでいるのです。4、5万円しているブランドで驚愕の品質の悪さなものも見たことがあります。(3プライスより悪い場合も)
見分け方(これで全てが分かるわけではありませんが)。2、3回テンプルを開閉してみてくださいスムーズに開閉できない場合は怪しいです。言葉で伝えにくいのですが、同じ力で開閉しているのに動きが鈍くなるときがあるのが注意です。
またテンプルとフロントをつないでいる丁番の厚みが均等でないものも注意してください。フロントとテンプルの繋ぎ目に使われていてネジが通っているパーツです。
通常3枚~5枚(横から見たときの板の数)使われていますが、この一枚一枚が平行に走っていないものが時々あります。
精度が悪い眼鏡ブランドは、パーツが交換できません(珍しくありません)。なんだかの理由でパーツを交換しなければいけない時、誤差が大きいため交換ができないのです。壊れたら終わりだと思っていた方が良いかと思います。
海外ブランドでも日本に入ってきて10年以上続いているブランドをお勧めします。そういったブランドはある程度の精度は保たれています。(それでも日本製には劣りますが)
その事実を知った上での購入をお勧めします。
ではまた後日